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ソリッドティップが武器。「CTS Euro XS 10.6ft #3」を組んでみました

以前から気になっていたブランクを、ニュージーランドのCTSから取り寄せてみました。

ユーロニンフィングのブランク「Euro XS(ユーロXS)」です。

早速、自分用に10.6フィートの#3を組み上げてみました。
今日はそのブランクの特徴と、組み上げる際に留意した点についてご紹介したいと思います。

CTS Euro XS ブランクの特徴

この「ユーロXS」は、CTSのフラッグシップモデルである「Affinity X(アフィニティX)」をベースに開発されています。最大の特徴は、そのティップセクションにあります。

1. 非常に柔軟なソリッドティップ

ティップ部分は、中空のチューブラーではなく、ソリッド(無垢)構造になっています。

これにより、ティップが非常に柔軟に曲がるよう設計されています。この柔軟さこそが、ユーロニンフィングにおいて強力な武器となります。

  • 掛け損ないの軽減: ユーロニンフィングの繊細なアタリは、硬いティップだと弾かれてしまいがちです。
    このソリッドティップは、魚がフライを咥えたときのわずかな抵抗にもしなやかに追従し、フッキングの「掛け損ない」を劇的に減らしてくれます。
  • 細いティペットの保護: 時に7Xや8X、あるいは9Xといった極細のティペットを常用するこの釣りにおいて、ティップの柔軟性は不可欠です。魚が掛かった瞬間のショックをティップが吸収し、ティペット切れをしっかり防いでくれます。
  • 軽いフライのキャスト: 重いニンフだけでなく、軽いフライを使う場合でも、ティップがしっかり曲がってくれるため、ロッドに負荷を感じやすく、キャスティングが非常に容易です。

2. 強靭なバットセクション

ティップが柔軟な一方で、バット(手元側)の部分は非常にパワフルに作られています。これにより、不意に大型の魚がヒットしても、ロッドのパワーでしっかりと魚を寄せることができ、余裕を持ったファイトが可能です。

ビルダーとしてのこだわり(組み上げ)

この優れたブランクの性能を最大限に引き出すため、今回の組み上げでは以下の点にこだわりました。

1. ガイドシステム

ユーロニンフィングでは、細く長いリーダーシステムを使います。
このリーダーは、時に5〜6ポンドのモノフィラメントを数メートルから10数m使うという場合もあり、そのような場合、キャスト中やドリフト中のちょっとした糸ふけでガイドに絡みつくトラブルが、激増するのです。

そこで、今回は小口径のシングルフットガイドを中心に取り付けることにしました。

これにより、ラインがガイドに絡みつくのを軽減できますし、絡んだ場合にも比較的それを外しやすくなります。
さらに、ティップセクションの総重量が軽くなるため、ロッドのブレの収束が速くなり、よりシャープなキャストフィーリングを実現できました。

2. リールシートとバランス

リールシートは、ユーロニンフィング用ロッドの定番ともいえる、ダウンロッキング方式を採用しました。

これはリールをできるだけ手元(下側)に配置することで、ロッド全体のバランスを取るためです。

完成したロッドの使用感

ブランクの特性と、こだわったパーツ選定の結果、素晴らしいバランスのロッドに仕上がりました。

この10.6フィートという長さにもかかわらず、まったくティップヘビー(先重り)な感じがありません
ロッドを繋いでリールを装着した状態での重心は、グリップの先端部分に来ています。

これが何を意味するかというと、ユーロニンフィングの釣法で求められる「ロッドを水平、あるいは少し立てた状態で長時間保持する」ことが、無駄な力を一切入れることなく、非常に楽に行えるということです。

ロッドの感度、バランス、そして実釣性能。どれをとっても非常に満足のいく仕上がりになりました。
ユーロニンフィングの釣りを、さらに快適で楽しいものにしてくれるはずです。

ご興味のある方は、ぜひ以下のリンクからブランクの詳細をご覧ください。

CTS EURO XS-ユーロニンフィングフライロッドブランク

価格帯: ¥73,810 – ¥82,885

CTSのユーロニンフィング用ロッドブランクです。

このブランクを使ったロッドビルドのご相談も承っていますので、お気軽にお問い合わせください。

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フライロッドのグリップ破損修理

今回はお客様の大切なフライロッドのグリップ修理をご依頼いただきました。

【修理前】フライロッドグリップの状態:コルクの激しい損傷

こちらがお預かりしたフライロッドのグリップ部分です。

ご覧の通り、コルクが 相当傷んでおり、一部は欠け落ちてしまっています。

これでは、本来の握り心地やキャスティングの精度にも影響が出てしまうどころか、
リールを取り付けることもできず、使うことができませんね。

長年使い込んで、愛着があるため何とか直してまた使いたいとのこと。

その大切な、ロッドがまた活躍できるよう、心を込めて修理させていただきました。

フライロッドグリップ修理の工程:コルク交換で蘇る握り心地

今回の修理は、破損した部分を取り外し、新しいコルクを接着して成形するという流れです。

1. 劣化したコルクの丁寧な取り外し

まずは、傷んだコルクを慎重に、そして完全に取り除きます。

ブランクを傷つけないよう、細心の注意を払って作業を進めます。

2. 新しい高品質コルクの接着

古いコルクを除去したら、厳選した新しいコルクリングを接着していきます。

接着剤が均一に行き渡るように、そしてコルク同士がしっかりと密着するように、丁寧に作業を行います。

この接着の工程が、グリップの耐久性に大きく関わってきます。

3. コルク成形:損傷していないオリジナル部分はできるだけ温存

コルクが完全に乾燥したら、いよいよ成形作業です。

今回は元のグリップとリールシート部分はできるだけそのままに、
破損している部分だけを取り外し、新しく接着した部分との違和感が無いよう、
最新の注意を払って加工しました。

フライロッドにおけるコルクグリップの役割

フライロッドのグリップは、単に握る部分というだけではありません。

その形状やサイズ、仕上がりによってはキャストの精度や
釣りをしている間の疲労感などにも差が生じるものです。

コルクは軽量で滑りにくく、手に馴染みやすいという特性から、
古くからフライロッドのグリップ素材として愛用されています。

しかし、天然素材ゆえに、時間とともに劣化してしまうこともあります。

適切な修理やメンテナンスを行うことで、大切なロッドを長く使い続けることができるのです。

【修理後】美しく蘇ったグリップ

そしてこちらが、修理を終えたグリップです。

いかがでしょうか。

劣化した部分はなくなり、新しいコルクで美しく仕上げることができました。

これでまた、気持ちよくフライフィッシングを楽しんでいただけることと思います。

お客様からの喜びの声:「美しい仕上がりに感激!」

先日、修理を終えたロッドをお客様にお届けしたところ、
大変嬉しいメッセージをいただきました。

岡田さま

お世話になります。

ロッド、届きました。

とても美しい仕上がりで

感激しました。

ありがとうございました。

このように、お客様に喜んでいただけることが、
ぼくにとって何よりの原動力です。

このロッドで、また素晴らしい釣りの思い出を
たくさん作っていただけることを願っています。

フライロッドの修理・カスタムはご相談ください

フライロッドの修理や、カスタムビルドなども含めて、
その元となるロッドはうちで取り扱っているものでなくても全く構いません。

他社のロッドの加工でもお気軽にご相談ください。

フライロッドのグリップ修理やコルク交換、ガイド交換、その他カスタムビルドなど、ロッドに関するお悩みやご要望がございましたら、うちで扱っていない、他社のものでも承りますので、どうぞお気軽にご相談ください。

あなたの大切な1本のフライロッドのために最善を尽くしてお手伝いさせていただきます。

お問い合わせ

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    6ピースロッドの修理

    お客様との出会い

    ある日、一人のお客様からロッド修理のご依頼のメールが入りました。

    「大切に使っているものなので、何とか復活させてたい」とのことでした。

    被害状況の確認

    ロッドを拝見すると、グリーン系の美しい塗装が施された6ピースの高級カーボンロッド。

    #1セクションが完全に紛失し、#2セクションも途中で折れて一部が無くなっていました。

    でも、残りの#3〜#6セクションは素晴らしいコンディションで、このロッドへの愛着が感じられました。

    修理プランの提案

    #1セクションは完全にない状態で、もともとのアクションを把握することができないので、
    どの程度までそれを再現できるのか、不確定要素も多いのですが、可能な限りそれを実現するべく、
    いろいろ検討して、以下のような修理方法をとることにしました。

    • .#1セクションは手持ちのブランクの中から、残っている♯2セクションと会う内径と
      アクションのものを選び出し使用。
    • .♯2セクションはこのっている部分はできるだけ使用し、欠損している部分を
      やはり手持ちのブランクから切り出し、接続。

    実際の修理作業

    1.#1セクションの選び出し

    • 手持ちのブランクの中から残っている♯2セクションに会うものを選び出し、
      長さを調節してフェルール部分にカーボン繊維を巻き付け補強

    2. #2セクションの修正作業

    • 折損部分をクリーンカット
    • 欠損部分を補う部分のブランクを切り出し接続

    2. アクションの調整

    • 新たに作った#1セクションと、修正後の♯2セクション、
      それから#3以降の適合確認
    • ガイド位置の設定
    • 全体的なアクションバランスの確認

    3. 仕上げ

    • オリジナルのブランクカラーに近いカラーに塗装
    • 新規ガイドのラッピングと塗装

    エピローグ

    出来上がったロッドはこのような仕上がりになりました。

    新たに作った#1セクションと、♯2セクションの継ぎ足した部分ののカラーは
    オリジナルのものとは少し違いますが、ある程度近づけられたのではないかと思います。

    アクションも、本来のものは想像するしかありませんが、
    違和感はない状態には仕上がったと思います。

    まとめ

    一見修理不可能に思える破損でも、諦めずに対処すれば、
    また釣りのパートナーとして活躍してくれる可能性があります。
    もちろん、完全な元通りの復元は難しいものの、新たな特性を持つロッドとして、
    また違った楽しみ方ができるはずです。

    あなたも大切に使っていたロッドが破損してしまい、
    メーカーでの修理も不能などといったことがあれば、
    あきらめてしまう前にまずはご相談ください。

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