に投稿 2件のコメント

早春のミッジング


2月に入り、早いところではもう解禁している川面ちらほら。
早春にドラフライの釣りをしようとすると、
一部を除き、フライは極小のミッジ・パターンが主力となります。

そこで、今回はそんな早春のミッジングについて記事を書いてみようと思います。

ぼくのYouTubeチャンネルにも早春のミッジングについての
動画をアップしましたので、ご覧ください

実際の釣りシーンはもちろん、
結びづらいフライや、ティペットを結ぶのに便利な小物やそれの使い方や、
ミッジフライのタイイングもご紹介しています。

フライ

フライはその時魚が捕食している虫に合わせるのがやはり大原則ですが、
水温が低いこの時期は、小さなカディスやストーンフライなども交じりますが、
やはりユスリカやその他の双翅目、いわゆるミッジが中心となります。

サイズもミッジでなくても小さいものが主体となります。
フックサイズにして#22~#26程度が中心となると思います。
全長にして2~3㎜程度の長さになります。

パターンはいろいろありますが、
ぼくが個人的によく使うパターンを1本ご紹介しておきます。

フローティング・ミッジピューパ

フック:ドライフライ用フック #20~#30
ボディ:スレッド
ウィング:CDCフェザー
ソラックス:ダビング材

タックル

極小のフライを使用するこの釣りは、
基本的にはそのフライにバランスしたタックルが必要となります。

リーダー&ティペット

そのフライにマッチさせるタックルの中でも、
特にティペットのサイズは重要となります。

フライのサイズに比べて極端に太いティペットは
フライの自然な流れを阻害しますし、
プレゼンテーション時のフライの着水も強くなりがちで、
やはり不自然だといえます。
また、2~3㎜程度の小さな”エサ”に注目している魚にとって
太いティペットは違和感以外の何物でもないことでしょう。

リーダーもその細いティペットに合わせて細いものが必要になります。
長さは釣り場のサイズにもよりますが、
可能な限り、フライから離れた位置にラインを着水させたいので、
長くした方が良いといえます。

具体的には、ぼくの場合はそれほど大きな川でなければ9ft、大きめの川では12~15ft程度の
7xのリーダーに7x~8x程度のティペットを1メートル程度、
さらにその先に9x~12xのティペットを60~100㎝程度付け足します。

通常の渓流の釣り上がりのように、キャストの距離が比較的短く、
ティペットのサイズも細くても7x~8x程度でしたら、
ひとひろ、あるいはそれ以上の長いティペットをコントロールすことも可能で、
そのような長いティペットは、ドラグ・フリーでフライを流す距離を長くすることができるため、
たいへん有効なのですが、
極細のティペットを使用する場合、特にある程度遠投が必要になる場合は
ティペットはあまり極端に長くしない方が良いと思います。
このような場合、プレゼンテーションをコントロールすることは
たいへん難しく、ほとんど不可能といってよいでしょう。
ティペットの長さは、扱える範囲でできるだけ長くするのが良いといえます。

フライがある程度見やすく、多少目標から外れても
フライを確認できるのであればよいのですが、
極小のフライの場合は、フライの着水が確認できないと、
それの位置を把握することはたいへん難しくなります。

「ミッジフライは見えないから使えない」という声をよく聞きますが、
多くの場合、キャストしたフライが見えないことの多くは
このことが原因していると思います。
狙い通りの位置にフライを落とせる程度の長さに調節してみてください。

ライン

ラインは、使うフライやティペットのサイズを考えると#2や#3、
あるいはもっと軽いものを使うのが妥当なのですが、
早春のこの時期、釣りの舞台となる川は中、下流域の
比較的開けた場所が多くなります。

そのような場所では、強い風が吹くことも多く、
飛距離が必要となる場合もあります。

シラメのミッジングで有名な長良川本流を例に取ってみると、
中流域では#5、あるいは#6を使うこともよくあります。

ロッド&リール

ロッドは基本的に使用するライン・ウェイトに合わせればよいでしょう。
ただ、特に遠投が必要になる場合などは、
使用するラインよりも1番手程度重い表示のロッドを使うのも良いでしょう。
長さは8ft~9ft程度、開けた場所では9ft、
狭い場所では、それに合わせて少し短めを選ぶようにするとよいでしょう。

リールはラインに適合するキャパシティの物であれば、
お好みの物で問題ないと思います。

その他の道具

この釣りに必要な最も基本的な道具、
フライ、リーダー、ティペット、ロッド&リールの他に
必要なもの、あると便利なものなどをご紹介します。

フロータント


フライを浮かせて使う場合は、フロータントは不可欠といえるでしょう。
タイプはペースト、リキッド、スプレー、パウダーなどいろいろありますが、
それぞれ特徴がありますので、用途に合わせて使い分けてください。

ペーストタイプ

ペーストタイプのフロータントは
最も撥水効果が持続するタイプのフロータントです。

少量を指にとり、それをフライに塗り込みます。
部分的に浮かせたい場合にはその部分にだけ塗るということも可能です。

このタイプの多くの物はCDCのような繊細なファイバーを持つマテリアルに使用すると、
その粘性でベタリとまとわりついて、その素材の特性を損なってしまいます。
CDCにこのタイプのフロータントを使用する場合は、
粘度の低いタイプやCDCオイルから作ったもの(多くはシリコーン・オイルがその主成分)を
ごく少量塗るにとどめておきましょう。

リキッドタイプ

リキッドタイプのフロータントは、
ティペットに結んだフライをボトルの中に入れ、
それを取り出してから、息を強く吹きかけたり、
フォルスキャストをして、余分を吹き飛ばして使用します。

使い方がシンプルな反面、
ボトルがかさばり、やや重い、
部分的な塗布がしづらいなどの欠点もあります。

パウダータイプ

パウダータイプにはフライについた水分を吸着してフライを乾かすタイプと
パウダーに強い撥水性があり、それをフライに塗布することにより、フライを浮かすタイプ
それから、それの両方の機能を備えたタイプがあります。

撥水性を備えたパウダーフロータントは、水をたいへん強くはじくため、
塗布した直後はフライは優れた浮力を発揮します。
ただ、持続性はあまりないため、たびたび塗布しなおす必要があります。

吸水性を備えたパウダーの吸水性はたいへん高く、
すっかり濡れてしまったフライを一瞬で新品のようによみがえらせてくれます。
このタイプのパウダーのみで作られたフロータントには
撥水性はありませんので、通常これでフライを乾かした後、
何かしらのフロータントを追加で塗布する必要がありますが、
それだけに、パウダー以外のフロータントで撥水性を与えることができるため、
フロータントにこだわりたい人には良いといえます。

両方をミックスしたものはフライを乾かすと同時に
撥水性も与えられるため、
簡単に素早く使うことができます。

スプレータイプ

スプレータイプにもいろいろなものがあります、
撥水性のパウダーと揮発性の高い溶剤をミックスしたものや、
シリコーン・オイルと溶剤をミックスしたリキッドタイプを
スプレーにしたものなどいろいろありますが、

フライに直接吹きかけて使用するため、
お手軽に使える反面、
その多くを空中に飛散させてしまうため、
ロスが多く、あまり経済的だとは言えません。

B000AQYKZK
ティムコ シマザキドライシェイク スプレー

クリッパー

クリッパーはほかの釣りでも必要ですが、
この釣りでは特に大切なものだといえます。
極細のティペットでもきれいに正確に切れるものが必要です。

極細のティペットはちょっとした切り残しでも引っかかってしまいやすく、
一旦引っかかると、それを機に修復不能なほどに絡まってしまいます。
ティペットやフライを結んだ切れ端はできるだけ残さないように、
注意深くカットしてください。

フォーセップ

小さく繊細なフライは指ではつかみにくく、
特にCDCを使ったパターンでは、厄介です。
魚がかかり、濡れた状態になったCDCは指などで押しつぶされると
完全に濡れてしまい、吸水性のパウダーフロータントで乾かしたり、
場合によっては新しいフライに交換しなくてはならなくなってしまいます。

ところがCDCをつぶしてしまわないように、
フックをフォーセップでつまみ、注意深く外せば、
息を強く吹きかけたり、フォルスキャストをして水分を吹き飛ばせば
復活することも多いものです。

また、フックを外すときにまごついて、
必要以上に魚にダメージを残すことを避けるためにも、
フォーセップを持っておいた方が良いものです。

その他あると便利な小物

そのほかにあると便利な小物として、
ウチで販売している、ユーティリティクリップをお勧めします。
上のYouTube動画でもその使い方を説明していますが、
極細のティペットや極小のフライを結ぶときに、
たいへん素早く簡単に結ぶことができます。

 

装備

ウェーダーORブーツ

早春のミッジングに限ったことではありませんが、
ウェーダーもしくはブーツはやはり必需品でしょう。

立ちこむ必要がない場所では、ニ-ブーツで良いと思いますが、
多くの場合はチェストハイのウェーダーが便利です。

この時期、防寒のためにネオプレーン製のものを使う方も多いと思います。
ただ、この場合着こみすぎて、中で汗をかかないように注意が必要です。
ウェーダーの中で汗をかき、結露してしまうと、
ネオプレーン製であっても逆に寒くなってしまう場合もあります。
それを避けるためには、透湿性のウェーダーにフリースなどの防寒性に優れた
インナーを着たほうが良いとも言えます。

パタゴニア公式サイト メンズ・スウィフトカレント・エクスペディション・ウェーダー

パタゴニア公式サイト フット・トラクター・ウェーディング・ブーツ(フェルト)

また、それほど歩き回らず、移動は車で行う場合には
ストッキングタイプよりもブーツフットタイプの物のほうが
脱着が楽で便だといえます。

 

帽子&グラス

帽子とグラスもウェーダーと同様、
早春のミッジングのみならず、
フライフィッシングには必要不可欠だといえます。

フライフィッシングはご存じのようにキャスト中にフライが
自分の近くを何度も通り過ぎます。
安全のために帽子とグラスは必ず着けるようにしてください。

フリースやウール製のビーニーのような帽子は防寒に優れており、
これにつばのついたキャプを組み合わせたり、
帽子自身につばがあるものが、
余計な光が目に入らず、フライを見やすいのでお勧めします。

パタゴニア公式サイト ブロデオ・ビーニー

パタゴニア公式サイト ロングビル・ストレッチ・フィット・キャップ

グラス、それも偏光グラスもやはり安全性のためにも、フライの視認性のためにも必需品です。
色は比較的薄めのグリンかブラウンがよいでしょう。
ぼくの個人的な好みではブラウンがコントラストが比較的はっきりし、見やすいと思います。

防寒具

この時期の釣りでは、防寒にも気を使う必要があります。

ベースレイヤーとして化繊やウールの物を着け、
それにフリース素材の物に風を防ぐアウターが基本となります。
場合によってはダウンや化繊の綿入りのアウターが必要になる場合もあるでしょう。

パタゴニア公式サイト メンズ・キャプリーン・サーマルウェイト・ジップネック

パタゴニア公式サイト メンズ・キャプリーン・サーマルウェイト・ボトム

パタゴニア公式サイト メンズ・クラシック・レトロx・ジャケット

パタゴニア公式サイト メンズ・ナノエア・パンツ

パタゴニア公式サイト メンズ・マイクロ・パフ・フーディ

釣り方

実際の釣り方についても少し書き加えておきます。

キャスト

本流中流域など、開けた広い場所でこの釣りをする場合は、
ダウンクロスにキャストするのが通常です。

狭い釣り場などでは、上流に向かってキャストしても、
魚にリーダーやラインの存在を隠す角度でキャストすることも可能ですが、
広い場所ではそれがなかなか難しく、
フライ先行で流せる、ダウンクロスのアプローチの方が有利なのです。

また狭い釣り場では魚よりも上流に立ってしまうと、
魚に釣り人の姿を発見されやすいというリスクがありますが、
広い場所では、それが軽減されます。

流し方

極小のフライを使うミッジングでは、
ティペットをどんなに細くしても、
フライのサイズに比べ、ティペットの太さの割合が大きく、
その存在が気になります。
ティペットが水面に浮いていると、
その存在はさらに大きくなります。
ですから、フライをキャストしたら
できるだけ速やかに、ティペットは水中に沈めたいものです。

極細のティペットはたいへん軽く、
そのままでは、水面の表面張力を破ることができず、
なかなか沈みません。
そのため、フライとティペットが着水したら、
ラインを素早く引き、ティペットが水面の表面張力を破る手助けをしてやると効果的です。

ライズしている魚を発見したら、
そのレーンよりも少し先にフライをキャストして、
ロッドを素早く上流にあおり、ラインを引いてやります。
着水したティペット部分に適度なスラックが入っていたら、
フライ自体はあまり大きく動くことなく、
ティペットを沈めることができるはずです。

あわせ

魚がフライに出たら素早くロッドをあおり、
フッキングさせたくなってしまいがちですが、
それでは多くの場合針がかりしません。

ただでさえかかりにくい極小のフライを
下流にキャストするこの釣りの場合、
フライを素早く引いてしまっては、
せっかく吸い込んだフライを魚の口から引き抜いてしまうことになってしまいます。

ここは慌てず、ゆっくりとロッドを立ててください。
そうすればフッキング率はグッと高まります。
もしくはロッドを立てず、ロッドティップを低く保ちながら
素早く横方向へあおり、合わせても良いでしょう。
そうすれば水の抵抗により、素早く合わせながらもフライはそれほど早く動かないので、
フッキング率を高く保つことができます。
その場合、ティペットのスラックが多めの時はそれが取り切れない場合があるので、
ロッドをあおるのと同時に、ラインハンドを素早く引いてやると良いでしょう。

まとめ

極小のフライと極細のティペットを使うミッジングは
フライやラインを結ぶのもたいへんで、
チョットしたことでティペットが絡んだり、簡単に切れてしまったりと、
トラブルまみれになりやすいものです。

今回ご紹介したことがそんなトラブルの回避につながり、
ミッジングの繊細さとその有効性を楽しんでいただけたら幸いです。

早春のミッジング」への2件のフィードバック

  1. コメントいただき、ありがとうございます。
    このことは、近いうちに記事にまとめてアップしたいと思いますので、もう暫くお待ちください

  2. フライフィシングの有益情報いつもありがとうございます。
    CI試験の勉強している九州在住の鶴岡と言います。
    急なお願いですみません。
    下記内容を教えて下さい。
    岡田さんのHP 受験資料から タスク22
    (問題の原因とその矯正策の説明には、ブルースリチャーズの6ステップ・メソッドを使用すること。)とあります。
    6ステップの内容と説明事例をお願いできますでしょうか?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です